下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤は自然に治癒するものではありません。状態が悪化する生活に支障を来す可能性があるので、適切な治療や予防方法、ケアの方法など、正しい知識を身につけて、この疾患を早く快方するようにしましょう。

予防と対策

生活上の注意

下肢静脈瘤の予防、もしくは、進行を抑えるためには、血液がスムーズに流れるようにし、血液が血管の中にたまらないようにすることが大切です。
そのために心がけたい日常生活のポイントをご紹介します。
1.弾性用ストッキングの着用
下肢静脈瘤の予防、もしくは、進行を抑えるためには、血液がスムーズに流れるようにし、血液が血管の中にたまらないようにすることが大切です。
そのために心がけたい日常生活のポイントをご紹介します。
2.就寝中は枕などに足を置いて、心臓よりも高くする
足を心臓の位置よりも高く上げることによって、足の血液が心臓方向に戻りやすくなります。夜、寝るときは、できるだけ足を上げるように心掛けてください。膝の下、ふくらはぎ、足首の下に枕やクッションたたんだ毛布などを置き、足を上げたまま寝るようにしましょう。
3.長時間の立ちっぱなしでいない
立ち仕事の人に下肢除脈流が多いことからもわかるように、長い時間、立ったままでいると足の静脈に負担がかかり、逆流防止弁が壊れる原因になります。とくに同じ姿勢でじっと立っていなければならない仕事の場合は、ふくらはぎの筋ポンプ作用もはたらかないため、血液のうっ滞が生じてしまいます。
同じ場所に立っていなければならないときも、できるだけ足を動かし、筋ポンプ作用を働かせましょう。
4.筋ポンプ運動を行う
筋ポンプ体操のやり方
  1. 椅子にすわって両足をあげ、足首をまげたり伸ばしたりします。
    はじめはゆっくり、徐々に速くしていき、30~60秒続けましょう。
    これを一日数回行う事をお勧めします。

  2. 足首をのばし、バタ足のようにして左右交互に上下に振ります。
    30~60秒続け、最後に足全体に力をこめて一気に力をぬきます。

    筋ポンプ体操のやり方

    また足の指を曲げたり・開いたり、足首を前後左右に振るストレッチも効果的です。

扁平足の方は足底筋を鍛えるストレッチをお勧めします。
  1. タオルを床に置き、足の指でたぐり寄せる運動です。
  2. 足の裏を刺激する、ゴルフボールを足の裏で転がす・青竹踏みもお勧めです。
  3. 足指を広げる運動も効果的です。(下図)

ふくらはぎの運動

5.長い時間座っている時も筋ポンプ運動を行う
椅子に長時間座っている人も要注意です。
  ふくらはぎの筋肉を動かさないと、膝から下の静脈のうっ滞が進みます。意識してふくらはぎの運動をして筋ポンプ作用を働かせてください。
6.運動を心がけ、足をよく動かす
日頃から適度な運動をして、血流をよくするようにしてください。
日常的に運動を行っていない方は、ウォーキングやストレッチも効果的です。
7.肥満を防ぐ
体重が増えると、足にも負担がかかります。
特にお腹が大きく膨らんでいる場合は、足の付け根にある逆流防止弁に圧力をかけている状態が続きますので、弁が壊れる可能性があります。
また、肥満の方は、足の皮下脂肪が多くなり、静脈瘤ができていても皮膚の上から見えにくくなります。目に見える血管の膨らみがない場合でも、足のだるさやむくみが強かったり、足にかゆみの強い湿疹ができたら、一度専門クリニックを受診し超音波検査を受けることをお勧めします。このように血管が浮き上がっていない場合も、隠れ静脈瘤の可能性があります。